2008年6月16日

独協医科大学 科学研究費補助金を不正プール(2)

独協医科大学は、
科学研究費補助金などの不適切な会計処理があったことについての報告とお詫びを公式サイト上に掲載しています。

(独協医科大学/2008.01.28)(抜粋)

公的研究助成金の不適切な会計処理問題についてのお詫びとご報告

 先に、新聞等の報道にありましたとおり、本学において公的研究助成金の不適切な会計処理問題が生じました。社会の皆様をはじめ、在学生並びにご父母、卒業生、本学関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを衷心より深くお詫び申し上げます。
 ここに今回の問題の概要とこのような不祥事を再び起こさないために講じました改善措置についてご報告申し上げるとともに、公的研究助成金の財源が国民の貴重な税金であることを肝に銘じ、今回策定しました改善措置に基づき公的研究助成金の適正使用に万全を期すことを宣言いたします。

1.本件の概要について
 平成19年4月に会計検査院の実地検査が行われた結果、本学研究者の科学研究費補助金の使用方法に問題がある旨の指摘を受けました。指摘の内容は、複数の研究者と本学取引業者のうちの1社の間で研究者からの発注に対し当該取引業者が実際には納品しないで架空の納品書・請求書を大学あてに発行し、これに基づいて大学が支払った金員が当該業者の銀行口座にいわゆる「預け金」としてプールされ、必要に応じて当該年度から次年度以降に亘って研究用の試薬、消耗品等の購入に当てられたというものです。

 この指摘を受けて、本学は直ちに研究費に係る調査委員会を設置し、所管庁である文部科学省に報告し、関係所管庁の指示のもと実態解明に当たりました。 
 調査の結果、預け金は、文部科学省科学研究費補助金、日本学術振興会科学研究費補助金、私立大学等経常費補助金、科学技術振興機構運営費交付金、日本私立学校振興・共済事業団学術研究振興資金、厚生労働省厚生労働科学研究費補助金について行われていたことが判明し、これに関わった研究者の人数は、4名の退職者を含めて総数32名で、内訳は基礎部門で教授4名、准教授6名、助教3名の計13名、臨床部門で教授5名、准教授5名、講師3名、助教6名の計19 名でした。また、預け金の総額は172,071,423円で内訳は次のとおりですが、32名のうちの1名の研究者について平成10年度からの累計で 109,804,479円の預け金が行われ、総額の64%を占めました。

・文部科学省科学研究費補助金関係(18名) 22,864,122円
・私立大学等経常費補助金関係(7名) 27,088,581円
・日本学術振興会科学研究費補助金関係(13名) 31,763,282円
・科学技術振興機構運営費交付金関係(2名) 5,014,638円
・日本私立学校振興・共済事業団学術研究振興資金関係(2名) 4,024,309円
・厚生労働省厚生労働科学研究費補助金関係(5名) 81,316,491円

 今回判明した預け金は、次年度の研究活動に支障が生じないようにする方法として採られたものでありますが、調査委員会では、研究者に対する事情聴取、関係帳票の精査を行った結果、預け金はすべて研究目的に使用されており、私的流用はありませんでした。しかし、預け金は公的研究助成金の使用に当たっての極めて重大なルール違反であるため、就業規則に基づき懲戒委員会を設置して当該研究者に対する処分について審議した結果、最高額の1名を諭旨退職(平成19 年10月10日付け)、退職者等を除く23名を減給1か月(10分の1)の処分としました。なお、このうち大学役職者3名は、それぞれ処分の前に役職を辞任しました。また、今回の公的研究助成金の不適切な会計処理について大学としての組織的関与即ち大学からの指示、誘導はもちろん黙認したこともありませんでしたが、大学として早期に発見し対処できなかったことを深刻に受け止め、学長等管理者の責任を問い、学長、副学長(2名)及び事務局長を減給1か月(10分の1)の処分(学長については2か月分返納を自主的に追加)としました(平成19年11月8日付け)。
 なお、今回発生した預け金については、関係所管庁からの返還請求があり次第、加算金等を含め第一義的に当該研究者自身が返還することで取り進めるとともに、不適切な会計処理に関わった研究者は既に平成19年度分として採択されている公的研究助成金の受給をすべて自主的に辞退することといたしました。



上記の続き↓

(独協医科大学/2008.01.28)(抜粋)

2.改善措置の策定及び実施について
 獨協医科大学は、このたびの事案について会計検査院の指摘を受けるまで公的研究助成金の不適切な会計処理が多数の研究者により長期間反復継続されていたことを厳しく反省し、今後は一切の不適正な行為が発生しないように次のような改善措置を講じ、直ちに実施いたしました。
 なお、今回の改善措置につきましては、文部科学省科学技術・学術政策局の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づいて本学が策定した体制整備の内容と一体を成すものであります。
【改善措置の内容】
(1)機関内の責任体系の明確化
 公的研究助成金の運営・管理を適正に行うため、大学全体の最高管理責任者を学長とし、これを補佐する統括管理責任者として副学長及び事務局長を充て、また学内の各部署に責任者を置き当該講座主任教授及び各部署長を充てることとし、具体的な管理体制を公表した。(平成19年11月8日公表)
(2)ルールの明確化・統一化
 現行の学内の科学研究費補助金取扱要領に加え、「獨協医科大学における研究助成金等の運営・管理に関する規程」を定め、すべての研究者及び事務職員に周知した。(平成19年11月8日周知)
(3)職務権限の明確化
 公的研究助成金の事務処理に関する研究者と事務職員の権限と責任について大学内で合意を形成し、明確に定めて理解を共有する。(平成19年11月8日実施)
(4)関係者の意識向上
 研究者自身のモラルの高揚を図るため全研究者に対し、本学独自に作成した「研究倫理誓約書」の提出を義務付けた。(平成19年8月27日実施)
(5)調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化
 公的研究助成金の不適正使用が判明した場合の調査手続等を明確に定めた。(平成19年11月1日制定)
 また、懲戒の種類及びその適用については就業規則に定められているが、新たに公的研究助成金の不正使用についての運用基準を検討している。
(6)不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施
 公的研究助成金の不適正使用を発生させる要因を把握し、公的研究助成金に係る不正防止計画を策定した。
 また、不正防止計画の実施担当組織として、「不正防止計画推進室」を設置した。(平成19年11月1日設置)
(7)公的研究助成金の適正な運営・管理活動
 平成18年11月から文部科学省科学研究費補助金及び日本学術振興会科学研究費補助金を対象に、事務局担当者が公的研究費に係る物品の納品検査を行っている。さらに昨年7月からは担当職員を増員して、公的研究助成金に係る全取引に範囲を拡げて検査を行っており、今後も引続き実施する。
 なお、大学として、公的研究助成金の不適正使用に繋がりやすいポイントを把握しチェック機能を働かせる。
 また、本学の取引業者に対し、大学経費は公的補助金で賄われていることを十分認識させ、不適正取引を絶対に行わないことを約束させる。万一行った場合は取引を停止するとともに当該業者名を公表することを周知徹底させ、その旨の誓約書を提出させた。(平成19年10月31日実施)
(8)情報の伝達を確保する体制の確立
 公的研究助成金の不適正使用等に関する内部告発及び外部からの通報(告発)に対する大学の窓口を設置し、通報に適切に対応するとともに、告発者等を保護する方策を講じた。(平成19年10月1日通報相談受付窓口設置)
(9)モニタリングの実施
 学内に「内部監査室」を設置し、獨協学園本部既設の内部監査室と連携して大学全体のモニタリングについて確認・検証するとともに不正防止体制が十分機能しているかについて監査を実施する。(平成19年11月1日設置)
(10)大学としての取り組み
 各研究者が、公的研究助成金が未だ配分されない年度初めの時期から、研究活動に着手できるよう新たに「研究資金立替制度」を創設した。(平成19年10月22日実施)
(11)法人としての取り組み
 学校法人獨協学園各校の補助金担当者が定期的に会議を開催し、各種補助金が適正に使用されるべく常に対応策を講じることとした。 


[関連サイト(当サイト過去記事)]
独協医科大学 科学研究費補助金を不正プール

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://university-staff.net/mt/mt-tb.cgi/3866