2005年5月17日

ボタンを押して、回答。

TVのクイズ番組みたいなことを講義でやっているようです。
おもしろそうですね・・・。

インターネットが普及していることも関係があると思いますが、「匿名」であるということが、意見を発信する(発表する、挙手するなど)後押しになっているのであれば、「匿名」ということを有効に利用する意味はあると思います。

が、人前で話しをすることの重要性も忘れてはいけないと思います。
忘れてはいけないと言うか、児童・生徒・学生に教えなくてはならないと思います。

(ITmedia)

大学の講義で効果を上げる「匿名性」

教授の質問にはスイッチで回答――米大学では匿名性の保たれる携帯無線デバイスの導入が進んでいる。

 米ブラウン大学のロス・シェイト教授は、「倫理と政策」の講義中、学生たちにこう質問した――不正を見つけたら、倫理的にそれを報告すべきだと思うか? 一斉に静かになったが、手を挙げた学生は一人もいなかった。

 だが90秒以内に、約150人の学生の回答がマルチカラーの棒グラフになってオーバーヘッドスクリーンに映し出された。64%が「はい」、35%が「いいえ」と回答した。

 シェイト教授の講義では、授業のたびに学生たちが何度かTVのリモコンに似た携帯無線デバイスを使って教授の質問に答える。

 このデバイスは学生の間で「クリッカー」と呼ばれ、現在クリッカーを使っている大学キャンパスは数百に及ぶ。最近では小学校での採用も始まっている。

 クリッカーは「大勢のフィードバック」のパワーとともに講堂というよそよそしい大空間にいる学生の参加を促し、教室内のダイナミクスを変える。クラスメートの前で間違った答えを言ったり、支持されない意見を表す不安の緩和にも役立つ。

 「(クリッカーは)学生たちの感じていることを知るために使っている」とシェイト教授は言う。「これを使うと、『ほかの人はどう考えているのだろう?』と考えるようになる」(シェイト教授)。

 難解な理科系の講義では、学生たちの講義内容の理解度を把握するために、主に複数の回答例から選ぶ形式でクリッカーが使われるケースが多い。これに対しシェイト教授は、学生の意見を知ることが目的だ。

 ニューヨーク市出身のブラウン大学1年生、ミーガン・シュミット氏はクリッカーについて、対話を促し、ほかの学生の考えを知るうえで効果的なツールだと話している。

 またシェイト教授の講義を受けている2年生のジョナサン・マガジナー君は、「(クリッカーを使って)自分で考えを決めなければならないので、ディスカッションに積極的に参加するようになる」としている。

 シェイト教授は学生に出す質問の多くをあらかじめ準備しておくが、必要であればその場で追加することもできる。学生たちの回答は、ノートPCとつなげた赤外線受信機を介して収集される。

 南カリフォルニア大学のスティーブン・ブラッドフォース教授は、成績優秀者を対象とした化学の講義で昨秋クリッカーを採用したところ、学生のディスカッション参加と出席率が向上したとしている。

 クリッカーによって学生たちが講義内容を把握しているかどうかを理解でき、また講義プランについてこれまでと違う観点から考えさせられるようになったと、同教授は話している。ただしクリッカーを使った学生が、標準テストで(使っていない)学生よりも良い成績を取ると断定するのは時期尚早だという。

 ハーバード大学の物理学教授で双方向授業を支持するエリック・マズール氏は、クリッカーは必要不可欠なツールではないが、より効率的であり、引っ込み思案な学生の参加を促すものだと評価している。

 このほか、教授と学生間の「教室外の対話」を行いやすくする技術が、既に多くの大学で採用されつつある。

 例えば、最近では教授がオンラインを介して講義のメモ、小テスト、文献リストを掲載できるようになっている。講義コースに関する既成のWebページやそのほかのコース管理ツールを提供するBlackboardやWeb CTといったソフトも提供されている。

 マズール教授は、いずれ学生たちがクリッカーの代わりに自分たちのノートPC、携帯電話、あるいはそのほかのインターネット対応デバイスを使うようになり、より双方向性の高い授業が実現すると展望している。少なくともフロリダ州に本拠を置くOption Technologies Interactiveという企業では、クリッカーと同じように学生が携帯無線デバイスまたはノートPCを使ってWebサイトにアクセスし、質問に答えることができるソフトウェアを販売している。

 さしあたってはクリッカーシステムが受け入れられているようだ。クリッカーシステムを手掛けている2社によれば、各社の技術を採用している大学キャンパスは現在世界で600を超える。教科書の発行元によっては、クリッカーで回答できる質問を設定し、クリッカーデバイスを教科書に同梱しているところもある。

 クリッカーのたぐいは1980年代から提供されているが、多く出回るようになったのは6年前からで、技術の進歩とともに低価格化が進み、洗練されてきた。

 クリッカーを採用しているほとんどの大学では学生にクリッカーを購入させているが、ブラウン大では図書館を通じて貸し出している。

 GTCO CalComp、eInstruction、Hyper Interactive Teaching Technologyの各社から販売されているデバイスの価格は約30ドルとなっている。

 クリッカーを使う学生の回答は赤外線(無線信号)で教授のコンピュータに送られ、学生の回答の記録、分析、グラフ化はソフトウェアで処理される。

 開発元によってシステムの機能に若干差はあるものの、一般的には、インストラクターがクラス全体の回答結果を表示したり、学生一人一人の回答を記録することが可能だ。

 クリッカー自体はメーカーによってさまざまだが、概して、学生が複数の回答例から選んだり、数字による回答が入力できる。

 このほかクリッカーを使って小テストを行うことも可能で、結果は自動的に採点され、コンピュータ化された成績表に収められるため、教授の手間が省ける。

 もっとも、学生がクリッカーを「懲罰的」でなく「ポジティブ」なものとして受け入れるようにするため、(小テストとしての)使用をあえて避けているとする教授陣もいる。

 大学レベルではもともと理科系の授業で使用されていたクリッカーだが、最近ではこれがもたらす匿名性が効果的とされる社会科学や人文科学の授業でも採用され始めている。

 シェイト教授は、講義で「積極的差別是正措置」といったデリケートな問題を扱う場合に(クリッカーによる匿名性が)特に効果的だと指摘する。

 「(積極的差別是正措置に)反対の学生はクリックする。だが彼らが自ら手を挙げ、それを口にすることはないだろう」と同氏は言い添えた。
(2005/05/16)

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