東京大学 学長:小宮山 宏 氏
「東大と京大が国内で(企業のトップの)数を競ってる場合じゃないよ」という言葉に納得。
ライバル視する範囲が狭いとダメだと思います。
たとえば、大学間の競争も、近隣大学と競っても何年かは結果がでるかもしれませんが、長期的にみたら、意味のない「競い」になると思います。
たとえば、北海道であれば、北海道内の大学のトップを目指すのではなく、
全国規模でのトップを目指すようなことで無くてはならないと思います。
(毎日新聞)14日、就任会見が終わって報道陣に囲まれるや本音をぶちまけた。「東大と京大が国内で(企業のトップの)数を競ってる場合じゃないよ」。東京生まれで、なにしろ言葉の歯切れがよい。
この会見で宣言した東大が目指す目標も、シンプルで力強い。「世界一の総合大学になる」。全世界の有力200大学を対象とする海外有力誌の特集で東大は総合12位、自然科学や工学・情報工学の分野で7位にランクされた。ライバルは米国ハーバード大、英国オックスフォード大、ケンブリッジ大だと言い切る。
「そのために『血のめぐり』も『知のめぐり』もよくする」。血とはお金(運営資金)のこと。知の方面では、極端に細分化された研究を統合して全体像を組み上げるプロジェクトに着手。秋には世界トップクラスの研究者を招いた学生向けの「学術俯瞰(ふかん)講義」を導入し、内容をインターネットで公開する。
専門は化学システム工学。地球温暖化問題の世界的権威で、岩波新書の「地球持続の技術」は地球の将来への楽観論と悲観論をともに退ける現実的な問題提起として、高い評価を受けている。
最近、東大生のレベルも落ちたのでは……との質問には目をむいた。「それはない。やりたいことをつかまえると学生の目つきはチワワ(犬)からオオカミに変わる。今も昔も同じだよ」。ただ、こう付け加えた。「人間関係は希薄になっているかもしれない。テレビゲームの影響かな。『もっと生身の人間を相手にしろ』と言っている」
【略歴】小宮山宏(こみやま・ひろし)さん。東京都出身。東大で工学部から大学院へ進み、助教授を経て88年工学部教授。経済財政諮問会議メンバーで、国の審議会などの要職を歴任。60歳。
(2005/04/15)