2011年12月 2日

「情報の科学と技術 Vol. 61 (2011), No.12」

情報科学技術協会の会誌「情報の科学と技術」のVol. 61では、「ラーニングコモンズと利用者サポート」について特集されています。

(情報科学技術協会)(一部抜粋)

「情報の科学と技術」
Vol. 61 (2011), No.12

特集 : 「ラーニングコモンズと利用者サポート」の編集にあたって
 近年,学生におけるレポート作成スキル,若手社員の研究スキル低下などがフォーカスされている。事実,インターネット上の情報を自身のレポートに無断引用するなどの事件もよく耳にする。一方で,デジタルメディアとインターネットに精通し,新しいコミュニケーションスタイルを身に付けた若者が次々と生まれている。
 このような背景の中,ライブラリーは利用者環境の変化に適応したサポートが求められている。物理的に蔵書を蓄積・提供するという役目だけでなく,ライティングやプレゼンテーションなどをライブラリ・スタッフが指導するような学習支援としてのあり方について注目し「ラーニングコモンズと利用者サポート」について特集した。
 本特集では,多くの実例をまじえて日本の大学・機関におけるラーニングコモンズや利用者サポートを中心に論じていただいた。
 今号の総論に位置づけられる東京大学大学院の山内祐平氏には日本型ラーニングコモンズと学習支援について論じていただいた。日米の大学における学習支援の位置づけの違いを明らかにし,その差が日本においてラーニングコモンズの展開にどのような影響を与えているかについて考察いただいている。
 大学図書館の具体的な実例として,国際基督教大学図書館の畠山珠美氏よりラーニングコモンズの機能の1つとしてライティング・センターの構想から実現について解説いただいた。また,お茶の水女子大学図書館の廣田未来氏より学生と図書館職員の協働プログラム「LiSA」について解説いただいた。
 公共図書館の具体的な実例として,都立中央図書館の青野正太氏,余野桃子氏より利用者サポートの実践についてインターネット検索講習会やEメールを活用したレファレンス事例等について解説いただいた。
 大学図書館とデータベース提供元企業の取り組みとして,トムソン・ロイターの矢田俊文氏,広島大学図書館の庄ゆかり氏,九州大学図書館の野原ゆかり氏よりデジタルネイティブ世代の利用者サポートについてウェビナーを使った講習会の実例を解説いただいた。
 Web2.0と呼ばれた時代からWeb3.0に,ブロードバンドネットワークやクラウドサービスの普及など急速に利用者環境は発展し,利用者のニーズやスキルも多種多様となりつつある。いかにライブラリーやスタッフの方々が利用者に対し適材適所に情報を提供できるか,本特集号が今後の参考となれば幸いである。
(会誌編集担当委員:松下豊(主査),小山信弥,立石亜紀子,森嶋桃子)

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