2007年7月12日

秋田大学 学長声明「運営費交付金の大幅減額論に反対して」

秋田大学は、
学長(三浦 亮学長)声明として「運営費交付金の大幅減額論に反対して」をホームページ上に掲載しています。

(秋田大学/2007.07.10)(一部抜粋)

運営費交付金の大幅減額論に反対して

 日頃から秋田大学に対して暖かい御支援を頂いておりますことを厚く感謝申し上げます。
 学生納付金と,国民の税金から支出される運営費交付金を主な財源として経営しております国立大学法人として,活動状況,経理等について常に公開して透明性を保ちながら,国際的な教育・研究を遂行するとともに,各分野の人材の育成,社会活動への関与を通じて地域の発展に寄与すべく日々努力しております。
 ところで基盤的経費(通常の人件費,物件費などいわゆる生活費に当たる)の大半を占める運営費交付金は,法人化後,毎年1%(本学で約7,000万円),また平成18年度より,総人件費の1%減額が進行中であります。かかる厳しい予算状況の中で節約は勿論ながら,縮小均衡に陥らないよう,外部資金,競争的資金の獲得によって,教育・研究の質のさらなる向上を図って参りました。
 然るに,各種報道によって御存知かと思いますが,最近,経済財政諮問会議,あるいは財務省から,競争原理を大幅に導入した効率重視の一段と厳しい運営費交付金の配分方法が提唱されております。一例として,科学研究費獲得総額(教員一人あたりではない)を基にした試算では,87国立大学法人中,74大学が減額,秋田大学は50%以上の減とされております。本学の現在の運営費交付金は年100億円弱であり,50億円以上の減額となります。国家財政の厳しい現状はよく理解しておりますが,
50億円以上の減額はいかなる経営努力,外部資金獲得によっても対応出来るものではなく,秋田大学は極端な衰退を余儀なくされます。すなわち,秋田県の発展を支える人材を育成し,知の拠点として地域の活性化に貢献する機能は失われてしまいます。高等教育を受ける機会が減り,地域間格差が拡大することも懸念されます。多くの地方国立大学も同様の運命を辿り,国力の源泉である教育・研究,特に人文科学,基礎科学など,早期の効果が期待できない分野,多額の競争的資金獲得の困難な
分野から崩壊していくことは必然です。
 国立大学協会は,国に対し,「基盤的な経費の確実な措置と競争的資金の大幅な拡充」を求めていくこととしています。
 秋田大学も,国立大学協会と歩調を合わせ,運営費交付金の大幅減額に反対して参ります。
 教育・研究という高等教育機関の役割は,効率一辺倒の主張には馴染まないものです。本学は今後とも教育・研究において,国際的,全国的に認められる高いレベルの成果をあげ,その実力を背景として地域社会の発展に貢献して参ります。
 新たな運営費交付金配分法の方向性は,今年度中に決定されることになっており,この時期にあたって,県民の皆様方には国立大学,秋田大学の主張に充分の御配慮を頂き,御支援下さいますことを心からお願い申し上げます。

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