2005年3月28日

学部学科の再編を学生はどうおもっているのか・・・

志願者数の減少など、さまざまな理由で学部学科の再編がいろいろな大学で行われている。学部学科の名称を変更して、イメージチェンジを図る大学もあることだろう。
学部学科の再編が進む中で、再編される学部学科への力の入れ方は弱くなってしまってはいないだろうか・・・。

既存の学部学科の在学生の教育は保障せねばならないのではないか。

(JanJan)

学部・学科新設の影で学生は?

 近年、学部・学科の新設・統廃合や名称変更がよく行われるが、在学生の学ぶ権利は守られているのであろうか?今年度、4年制大学のみでも、学部の設置届出が36校、学部の設置は61校も届出ている。その多くで、既存学部・学科の縮小・廃止が予定されている。私の学ぶ、岡山理科大学工学部福祉システム工学科も廃止され、来年度(平成17年4月)より知能機械工学科となる。私たち学生の間では、不安の声があがっている。

 福祉システム工学科は、義肢や車いすなどの福祉工学技術と、力学やメカトロニクスなどの機械工学技術の融合をねらい、2001年度に新設された学科である。その分野での第一人者や実務経験者らを教授陣に迎え、官庁や医療・福祉関係者らの期待は大きかった。しかし、学校法人の予想志願者数を下回った(定員割れは起きていない)ため、学科の名称変更やカリキュラムの変更が機械系の教授主導で議論され、設立後わずか4年での廃止、新学科設立が決定された。今年度6月には、文科省に「知能機械工学科」の設置を届けた。これに、福祉工学系の教員が反発、大学側からの圧力や以前からの意見対立もあり、教員の半数近くが今年度末で辞められる。

 新学科では、機械系や機械要素の強い教員が就任予定である。新任の教員にも福祉分野の方がおられるが、従来の学科におられた義肢装具・福祉心理学・コミュニケーション支援工学などの専門家はおられない。福祉システム工学科在籍の学生(新2~4回生)は、福祉システム工学科のカリキュラムに沿って講義を行い、卒業させなければならない。そのため、非常勤講師による講義が大幅に増え、学生は講義内容を気軽に質問しにくくなる。卒業研究の指導教官が、研究テーマの専門外の教員となる事態も発生している。

 大学側は、学生向けの説明会で、しきりに「経営上の問題」をあげた。しかし16年度中には、フィットネスルームやコンビニを備えた新校舎を作り、関東地方に新大学も設立しているのである。私たちは、高い学費を払い、大学に知的探求心をみたす「学問」を求めているのであって、安易なサービスを求めているのではないし、新大学に寄付しているのでもない。

 理科大学は、数年前まで「面倒見のいい大学」を売りにしていた。大学は、学生に一定水準以上の高等教育を提供する義務があり、相互契約が成立しているという考え方もある。学費は、学生や研究のために使われるべきなのだ。変化が予想される場合には、在学生の勉学に支障をきたさない配慮も必要である。

 設置届出の多さからも、私たちと同じような不安を抱いている大学生は、少なくないと考えられる。現に『AERA』3月7日号には、都立大学合併に悩む学生の姿が載っている。学生の学ぶ権利を考慮し、文科省は学部・学科の設置届けを慎重に審査・指導していくべきであり、大学は安易な新設統廃合などを慎むべきだ。私は、一人の大学生の立場から、大学教育の真の充実を求めたい。
(2005/03/26)

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