2007年6月17日

琉球大学 琉球大学憲章を制定

琉球大学は、琉球大学憲章を2007.05.22に制定したようです。

(琉球大学/2007.05.24)(一部抜粋)

琉球大学憲章を制定

 第57回開学記念日である平成19年5月22日に琉球大学憲章が制定され、同日に開催された午餐会において、琉球大学憲章の公表セレモニーが行われました。

 公表セレモニーでは、嘉数啓理事(琉球大学憲章起草委員会委員長)より「大学憲章というのはある意味で大学の憲法であり、構成員の皆さんが行動を起こすときの拠って立つものです。また、OB、一般市民の皆さんに読んでいただき、広く普及すればと思います」との挨拶があり、経緯説明等がなされました。続いて高良鉄美 法務研究科教授(琉球大学憲章WG委員長)より憲章の朗読が行われました。

琉球大学憲章

前文

 琉球大学は,1950年,沖縄戦により灰燼に帰した首里城の跡地に創設された。米国の統治下で,戦後復興と教育再興という住民の強い要望が米国軍政府を動かし,琉球列島初の大学が創設されたのであった。その後,1966年に琉球政府立となり,1972年の日本復帰と同時に国立大学となった。また,1977年に西原町・宜野湾市・中城村の3市町村の接点地域にある広大な新キャンパスへ移転し,2004年には国立大学法人となって,現在に至っている。その間,琉球大学は学問の自由や大学の自治への干渉等,幾多の歴史的試練を経ながらも,地域の人材養成と知の創造に大きく貢献してきた。
 21世紀を迎え,大学を取り巻く環境は大きく変化している。経済・社会のグローバル化をはじめ,情報化,少子高齢化,社会的・地域的格差の拡大等の課題に対応して,教育研究機関の役割が多様化するとともに,革新的な取り組みが問われている。とくに国立大学は法人化後,厳しい財政改革を伴う競争と評価の時代を迎えている。琉球大学に対しては,広大な海域を含む島嶼地域における拠点大学として,豊かな自然環境を守り,地域社会の持続的発展に寄与することが求められている。琉球大学は,この憲章に掲げる理念に基づいて,本学の構成員である教職員・学生の協働により,将来の制度変革にも積極的に対応する。
 琉球大学は,沖縄の歴史的教訓としての「命(ぬち) どぅ宝(命こそ宝)」という生命および個人の尊厳の考え方を根本に置き,「再び戦争の惨禍が起こることのないように」とする戦後沖縄の教育原点を深く自覚する。琉球大学は,自然的・文化的・歴史的特性を有する琉球列島にあって,世界の平和と福祉の向上を目指す人間性豊かな責任ある人材養成に果敢に挑戦することを,今後も変わることのない使命とする。
 私たち琉球大学の教職員・学生は,「自由平等,寛容平和」の建学の精神を継承・発展させ,「地域特性と国際性を併せ持つ個性豊かな大学」を創り上げる決意を高らかに宣言し,自らが主体となって行動を起こす際の依るべき根本規範として,ここに琉球大学憲章を制定する。


第1章 教育
(教育の目的と理念)
1.琉球大学は,学生が学習権の主体であることを踏まえ,教育を重視する大学として「自由平等,寛容平和」に満ちた社会の形成者を育成することを教育の目的とする。また,自主自立の精神に基づく教育活動を通して,社会全体の持続可能な発展に寄与することを教育の理念とする。

(教育における責務と社会的評価)
2.琉球大学は,すべての人々に生涯を通した教育の機会をひとしく提供し,高等教育機関にふさわしい教育活動を維持,強化,発展させることを責務とする。また,琉球大学は,教育活動において社会に対する責任を負っており,前項に掲げる教育の目的と理念に照らし合わせ,社会的評価を受けることを深く自覚する。

(多文化交流の推進)
3.琉球大学は,琉球列島が多様な文化を育んできた地域であること,また,多元的な文化交流によって心豊かな人間性が培われることに鑑み,人類が地球上に開花させてきたあらゆる文化を尊重し,交流を推進する。


第2章 研究
(研究の理念)
1.琉球大学は,学問の自由を尊重し,基礎研究と応用研究は研究活動の両輪であることを踏まえ,知を継承・創造し,発展させることを研究の理念とする。

(地域特性)
2.琉球大学は,基盤研究の重要性を認識した上で,特色ある自然・文化・歴史を有する琉球列島の地域特性を活かした研究を多様な視点から展開し,世界水準の個性的な研究拠点たることを目指す。

(研究交流の推進)
3.琉球大学は,地域社会と情報を共有するとともに,国内の機関およびアジア・太平洋地域をはじめとした諸外国の機関との研究交流を推進し,世界に向けて成果を発信する。

(研究における責務と社会的評価)
4.琉球大学は,知の継承・創造・発展という研究理念を実現する責務と社会から求められる役割との均衡をとりながら,健全な研究体制の維持・発展に努める。研究は,社会的倫理と規範を遵守しつつ,学術的批判および社会的評価を受けながら進められるべきである。


第3章 社会貢献
(開かれた大学と社会的使命)
1.琉球大学は,社会に「開かれた大学」として,人と人とを結びつける大学を目指す。また,大学が社会を変え,社会が大学を変えるという相互関係を自覚し,琉球列島における最高学府として本学の社会的使命を果たすべく,不断の努力を行う。

(社会との協働)
2.琉球大学は,学術的に確立した知識・技術を社会に還元するだけでなく,社会と共有する諸課題の解決に取り組む対等のパートナーとして,多様な個人・団体と協働する。

(地域社会の持続的発展への責任)
3.琉球大学は,地域社会の再生に取り組むとともに,豊かな自然環境を守り,持続可能な地域社会の発展に寄与する責任を担う。


第4章 大学運営
(基本的人権の尊重)
1.琉球大学は,基本的人権を尊重し,人種,信条,性別,国籍,障害等による差別をしない。また,自らの保有する情報を積極的に公開するとともに,個人情報の保護を図る。琉球大学は,すべての構成員がその個性と能力を発揮しうるよう,教育・研究・労働環境の整備を図る。

(民主的な大学運営と効率的経営)
2.琉球大学は,学問の自由と大学の自治を保障するため,民主的な大学運営と教育・研究を支援する効率的な経営を行う。また,法人化後の大学をとりまく環境に対応し,競争と評価に耐えうる財政基盤の確立と健全な経営に努める。

(自律と連帯)
3.琉球大学は,教職員の自律と連帯に基づく知的共同体を形成し,教職員と学生が一体となって創造・発展する大学を目指す。本学の構成員は,全学的な視点に立ち,それぞれの役割と責任を主体的に果たし,社会の多様な意見を本学の運営に反映させるよう努める。


終章 平和への貢献
 沖縄は,アジア諸国間の平和と友好の架け橋として「万国津梁」を担った歴史と沖縄戦において「鉄の暴風」と呼ばれる激戦地とされた歴史を有する。また,戦後の長い米軍統治を経て日本に復帰した現在も,沖縄には広大な米軍基地が存在する。このような沖縄の歴史と現状を踏まえ,琉球大学は,国際平和の構築に貢献する。
 琉球大学は,倫理・人道を尊重し,この憲章に掲げる教育,研究,社会貢献,大学運営における目的,理念に基づき,平和に寄与する。

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